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北海道に住むあなたへ いままで音信不通だった兄より

当事者インタビュー:Tさん(男性・74歳)
文(聞き手):竹浦史展

2017.08.25

■弟へ(※今回はご本人のお話をもとにした手紙調のコラムです)

おひさしぶりです。元気にしてますか?
去年、電話した時にはくわしい話ができませんでした。
私が北海道をあとにして50年の年月がたとうとしていますね。

3年前、私は岩手県で除染作業員として生活していた時、帰宅後にまともに歩けなくなり、社員寮で一緒にくらしていた仕事仲間のたすけで病院にいき、そのまま入院しました。

放射能による体調不良かと心配しましたが、そうではなく脳梗塞が原因でした。
治療がある程度すんでからは、神奈川県川崎市の病院に転院してリハビリに励み、杖をついて歩けるくらいまでに回復しました。

ハッピーホーム中原で生活

除染作業をする前は川崎の鉄道工事会社の寮で10年ほど暮らしており、そこでまたお世話になることも考えたのですが、仕事に復帰できる見込みがなく、 退院後の行き先もなかったので、いまは病院のソーシャルワーカーに紹介してもらったNPO法人のハッピーホーム中原という施設で生活しています。

この施設は介護施設ではありませんが、生活に困った高齢者が集まって暮らしており、介護ケアができる職員がいるほか、訪問介護やデイサービスを使って部屋の掃除や入浴の介助をうけています。

以前は要介護1でしたが、いまは要支援1に介護度が改善し、左半身にマヒがのこった自分でも生活できています。

北海道へ帰りたい

話はかわりますが、その後、家業の製麺はうまくいってますか?
自分としては、北海道に帰ってあなたが継いだ製麺の仕事を少しでも手伝うことができたらという気持ちがあります。

ですが、顔をあわせればきっとケンカになってしまうでしょうね。
いつも「自分が兄貴だ」という考えがジャマをして、自分が間違っていたとしてもそれを認められなかったことを反省しています。

そして、なんと言っても1番の気がかりは20代で離婚してから会っていない子ども達のこと。 両親と折り合いのつかなかった嫁が2人の子どもを実家に連れ帰った時、下の息子が年端もいかない5歳くらいなのにもかかわらず、
「パパわかれないで」
と泣きながら抱きついてきたことは、いまでも頭に焼きついて離れません。

仕事には恵まれていた

それから、オヤジのこともよく思い出します。
仕事のことで厳しく怒られ、商売上の意見の対立もよくありましたが、心の中ではいつも尊敬していました。いま思えば、オヤジのもとで一緒に製麺をやっていたころは、家族経営とはいえ金銭的にも恵まれていましたね。

知人を頼りに川崎に移り住んでからもお金に困ったことはありませんでした。
厳しい現場ばかりでしたが、長年、建設業や鉄道工事でたくさんの給料を稼ぎ、ボーナスももらうことができるなど待遇面は充実していました。

それでも、親の葬儀はおろか、一度も北海道に帰らず、いまとなっては身体的にも経済的も厳しい状況になってしまいました。

「もっと貯えておけばよかった」

いま思えば、体が元気で仕事をめいいっぱいやれているときに、もっと貯えをしておけばよかったと後悔しています。
パチンコは気晴らし程度にしていたのでお金はあまりかかりませんでしたが、酒を飲む量が半端ではなく、月に合計20万ほどの支払いをすることもありました。

わずかに貯えていたお金も入院費や治療代の請求ですっかり使い果たしました。
「いつまでも元気で働ける訳じゃない」
あたり前のことなのに「なんとかなる」と甘く考えていました。

手元にお金がないというのは情けないし、仕事をしていた時とくらべてメリハリのない生活は、楽な面と苦しい面の両方があります。

もし、子ども達の連絡先がわかったら教えてください。
どうぞ、体に気をつけて。それではまた。

まとめ(軽度の要介護者の受け皿が必要)

長年の肉体労働で鍛えられた体つきのTさん。
長年つとめあげた会社があったため、厚生年金の手続きをしたところ月額8万円程度の受給ができるようになりました。

生活面では施設内で転倒することがあるほか、キャッシュカードをなくしたり、外出中に意識を失って再入院といった状況もあります。

要介護度も要支援1と軽度の判定になったことで、特別養護老人ホームなど、ほかの高齢者施設へ入所することも難しくなりました。

本来、無料低額宿泊所はADL(日常生活動作)が自立している人を対象とする社会福祉事業ですが、ハッピーホーム中原をはじめ数施設で高齢者や傷病者への見守りやケアができる体制を整えています。

仕事が困難になった低所得高齢者が家賃や生活費をまかなうためには、年金や十分な貯金が必要になるでしょう。仮に持ち家があったとしても最低限の生活費は必要不可欠です。

不足する生活費は生活保護に頼らざるを得ない現実もありますが、住む場所はもちろん見守りや各種ケア、サービスをコーディネイトする役割を誰がになうのかがより重要なのではないでしょうか?

ハッピーホーム中原(無料低額宿泊所・定員38名)

神奈川県川崎市中原区井田1-3-40
※高齢者、身体障害者の受け入れ可能
[お問い合わせ]
NPO法人エスエスエス 神奈川支部
044-221-6403

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