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更新日:2018.02.21

相談こそがライフワーク
自身も生活に困窮した経験をもつ相談員のいきがい

スタッフインタビュー:城島弘典

#埼玉 #40代 #スタッフ #相談支援

ワークとライフのバランス

仕事をする、ということは、生活の糧を得る重要なものです。
同時に、仕事にやりがいやいきがいを見つけられることも、重要です。

しかし、近年は仕事のために私生活の多くを犠牲にすることが問題視され、
「仕事と生活の調和=ワークライフバランス」が叫ばれるようになりました。

ワークとライフのバランスをとる。
それは、仕事と生活が両立しにくい現実があるからです。

けれど、中には、自分が心から取り組みたい活動=ライフワークを、仕事にしている人がいます。
NPOSSS埼玉支部相談所所長の城島は、まさに、「生活に困っている人の相談にのる」ことを自身のライフワークとする1人です。

入口の段階をコーディネート

埼玉支部の月の相談件数は約80件。
これらの相談をケースごとに把握し、実際に施設に入所するまでの調整を行っているのが、相談員として15年目を迎える城島です。

最近多い相談は、DV被害による女性の相談。
「つい昨日も、夫からDVを受けた78才の女性の相談を受けました」
被害届も出し、生活保護を申請して、施設に入所することになりました。
しかし、この女性は人工透析を受けており、居所を移してすぐに治療が必要でした。
このため、事前に人工透析を受けられる近くの医療機関を探し、連絡を入れ、施設に入所してすぐに行けるような調整も行いました。
スムーズに施設での生活をスタートできるよう、福祉事務所、施設職員、そして医療機関などの社会資源とのコーディネートをしています。

もっと多くの人を助けられる

城島の一番の強みは、仕事を通じて知り合った人たちとの関係性づくりです。
現在、福祉事務所だけではなく、病院、地域包括支援センター、障害者支援センターなどからも相談を受けることが増えています。
その理由を聞くと、
「利用者の方の問題を解決したいと、いろいろ関係機関に連絡しているうちに、自然とつながりができてきた」
「1つのケースできちんと対応することが、信頼につながっているだけ」
と話します。

例えば川口市では、病院が中心となって地域の様々な機関が協働し、地域づくりを行っているネットワークに参加しています。
定期的に開催される研修に積極的に出席し、これをきっかけに、相談をしたり、相談を受けたりするつながりが生まれています。

利用者の方の抱える問題が、複雑化・多様化してきている現状があり、一つの機関だけでは解決しきれないことも沢山あります。

「それぞれが専門性をいかして、協働できるために、横のネットワークが大切」
「つながりが強くなれば、その結果、もっと多くの人を助けられる」
そう、城島は考えています。

仕事をこえたよろこび

関係機関とのつながりが、ひいては利用者の方のため、と考えている城島ですが、
仕事でつながった人とのやりとりを「楽しい」とも感じています。

福祉に関わる人たちと、集まって食事をしたり、休みの日には一緒に野球を観に行ったりと、仕事抜きの関係を築いています。

「同じ悩みやきもちを共有できる」
仕事の中に、仕事をこえたよろこびを見出すことができる。
この仕事は彼にとってライフワーク(=天職)であるといっても過言ではないでしょう。

「ああ、またがんばろう」

そんな城島でも、時に壁にぶつかることもあります。
特に難しいと感じているのが「依存症のケース」だと言います。
インタビュー当日も、アルコール依存症の利用者の件で、病院に相談に行くとのこと。

重度の肝硬変で、病院から入所してきたこの方は、施設に来て以来しょっちゅう腹水がたまる症状がありました。
よくよく事情を聞いてみると、原因は本人の飲酒。
「これ以上飲んだら命があぶない」と言われているにも関わらず。

依存症は、入所の段階で、医療機関や治療プログラムをコーディネートしても、
なかなか本人の自覚がなく、繰り返してしまうケースが多いのです。

支援がうまくいかず、気持ちが落ち込むこともある。
でも一方で、「ここにきてよかった。ありがとう」そんな言葉を聞くと
「ああ、またがんばろう」そう、思えるといいます。

自分のことは二の次

城島の性格について、同じ職場のスタッフに聞いてみたところ、
「自分のことは二の次で、利用者の事ばかり考えている」という声が多くでました。
本人にも、自分の長所を聞いてみたところ、
「自分のことはあまり考えないからよく分からない」という周囲の意見を裏付けるような回答。

先日、巡回相談を行っていた時、
「歩けないひとがいるからきてほしい」といわれ、様子をみにいった城島。
本当に立ち上がれないくらい衰弱している人を発見し、すぐさま救急車を呼びました。
そして、そのまま放ってはおけないと、一緒に同乗し病院まで付き添いました。
「施設に入所するなんて状態じゃなかったけど、ほっとけなくて、結局入院の手続きまで全部代わりにやってきた」
城島のきもちは、いつも困っている人に向かっているのです。

利用者と同じ目線で考えられる

城島が「利用者の自立に向けた手助けをしたい」と考える理由の一つに、
自身の経験があります。

専門学校を卒業後、技術職で13年間勤務。
その間いろいろな困難があり、なにもかもが嫌になり、現実から逃げ出した。
「俺どうなっちゃうのかな」
そんな思いで、路上にいたところを、NPOSSSの巡回相談員に声をかけられ施設に入所。
その後内部雇用制度により、現在の相談員の職に就きました。

「ここにつながったことが、人生の大きな分岐点だった」
「同じ経験をしているから、同じ目線で考えることができる」

自分のライフ(人生)が、生活に困窮する人を支援するワーク(仕事)につながっている。
自分と同じように困っている人が、その人らしい生活を送ることができるように、自立に向けての手助けができる。

これが、自身も生活に困窮した経験をもつ相談員 城島弘典にとっての、いきがいなのです。

文(聞き手):梅原仁美
取材日:2017.10.31

城島弘典(じょうじまひろのり)

1969年9月生まれ/2003年入社
特定非営利活動法人エス・エス・エス(NPO SSS)
埼玉支部 相談所 所長
巡回相談は月2回(川口周辺)※入浴サービスも実施しています。
炊き出しは毎週火曜日(大宮公園)
出没するので、会いにきてくださいね。

[お問い合わせ]
NPO法人エスエスエス 埼玉支部
0120-862-767

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