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更新日:2019.09.18

「ネフローゼ症候群」をきっかけに生活困窮
難病がもたらす葛藤と新たな価値観とは?

当事者インタビュー:Oさん(男性・40歳)

#東京 #40代 #難病 #ネフローゼ症候群

難病とは何か

2019年の夏、参院選で話題となった「れいわ新選組」
当選者のひとり舩後靖彦氏は、難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者であり、今後どのような政治活動をしていくのか、社会的な注目が集まっています。

さて、ここで質問ですが、「難病とは何か?」みなさんはご存知でしょうか。

難病の定義は、平成26年に成立した「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に次のように記されています。
 ①原因不明
 ②治療方法が確立されていない
 ③希少な疾病
 ④その疾病によって長期にわたり療養を必要とするもの

今回のコラムは、こうした難病の1つ「ネフローゼ症候群」を発症した男性をインタビュー。難病をきっかけに生活困窮に陥った男性の実情をお伝えします。

※参考サイト 厚生労働省「難病対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html

30代でネフローゼ症候群を発症

現在、生活困窮者の自立を支援する施設「柿の木坂荘」(東京都内の無料低額宿泊所)を利用しているOさん(男性・40歳)。難病の1つ「ネフローゼ症候群」の患者です。

Oさんがネフローゼ症候群を発症したのは、まだ30代の前半だった頃。
とある時、突然「思うように体が動かない」「だるい、食欲がない」と感じはじめ、排泄もできずに「1週間ほどで体がビックリするほどむくんだ」といいます。

ネフローゼ症候群を簡単に説明すると、血管の外の水分や塩分がふえ、体がむくんでいくというもの。(詳しい情報は、以下のサイトを参考にしてください)

参考サイト 東京女子医科大学 腎臓内科「ネフローゼ症候群」
http://www.twmu.ac.jp/NEP/nephrotic-syndrome.html

葛藤から繰り返す入退院

はじめは、原因もわからず、ネフローゼ症候群と診断されるまでに時間がかかりましたが、3ヶ月ほど入院し、ステロイド剤の点滴投与や塩分を管理する食事療法に取り組み、「むくんだ体がもとに戻った」というOさん。

退院して居酒屋チェーンで働きだしましたが、2年後に再発。
さらに、その後、水商売系の仕事について生計を立て直しますが、3回目、4回目と入退院を繰り返します。

それこそ、「原因不明」「治療方法が確立されていない」難病ならではかもしれません。しかし、なぜOさんはここまで入退院を繰り返すことになってしまったのでしょう。

そこにはOさんだけでなく、現役世代の人間なら誰しも抱えるであろう病気に対する葛藤がありました。

「病気を受け入れることができなかった」

実はOさんは中学時代から空手で心身を鍛えてきたストイックな性格。
それに加えて、経営者だった父親の事業が傾むき、経済的な理由から大学進学を断念したという苦労人。

高校を卒業してからは、ホテルマンやプロのウェイターを目指し、「いずれは自分で事業を立ち上げたい」と仕事や勉強に打ち込んできたOさん。

そんなOさんは、「突然、ネフローゼ症候群の診断をうけ、食事も運動も制限され、ガラッと生活を変えることが信じられなかった」「病気を受け入れることができなかった」と当時の気持ちを振り返ります。

さらには、「長期間の療養が必要」と医者から言われても、「はやく復帰して稼がなきゃ生活していけない」という不安や焦り、「自分はいったいどうしたらいいんだ!」と怒りにも似た葛藤を覚え、「無理やり働いては再発」を繰り返してきたのでした。

施設長の考え方に共感を覚える

こうして入退院を繰り返し、医療費の支払いが限界に達したOさん。
生活保護をうけて医療費を支払うようになり、住む場所も失ったことから、療養先としてSSSの運営する無料低額宿泊所にやってきました。

はじめは生活保護の担当ケースワーカーから言われるままに施設生活をスタートし、「何も見えない、人生真っ暗だった」というOさん。

しかし、減塩の特別食を摂るなどして、体調が安定してくると徐々に気持ちが動きはじめます。
そのきっかけを与えてくれたのは、「面倒見がよく、気の配り方がしっかりしている」という施設長の存在。

前職が同じサービス業という共通点もあってか、「みんなが幸せで笑顔でいられる環境をつくるのは私だけじゃムリなんだ。コミュニケーションをとりながら、前向きに過ごそう」と語る施設長の考えにOさんは強い共感を覚えました。

施設内の調理アルバイトを希望

そして、Oさんが入所して半年ほど経過したでしょうか。
飲食業界の経験もあったOさんは、「自分も役に立てないだろうか」「自分もやってみたい」と調理アルバイトを自ら希望しました。

それは、「自分の人生だから自分で考えよう」と日ごろから利用者の主体性を大切にする施設長の価値観に呼応した結果でもありました。

Oさんは、「時間で対価をもらう。それが社会の仕組みだと思っていた。それだけではなく、まわりの人に笑顔でいてもらい、自分も幸せを感じる。今までの枠を一歩こえてみよう」と前向きに生活できるようになったそうです。

「病気とうまく付き合いながら生活する」と価値観が変化

かつては、「アクセル踏みっぱなし。泣き言をいわず、『物事をできない理由は考えない』と自分にも他人にも厳しく、ストイックだった」というOさん。
現在は、その価値観がかわり、療養と両立が可能な範囲で調理アルバイトを務めつつ、「病気とうまく付き合いながら生活する」と笑顔で話します。

「これ以上は良くならないけど、自覚を持たないと前に進めない」
「医者まかせにせず、体を酷使するような働き方はしない」

Oさんは、「1日あたりの塩分摂取は6gまで」という食事制限を2年以上つづけており、再入院にいたるような体調悪化は起きていません。

当事者でないとわからない葛藤や苦しみ・・・。
「もうダメだ」とあきらめるのではなく、それらを受け入れ自分の価値観を変えることができるか、新たな一歩を踏み出すには何が必要なのかを考えさせられるお話ではないでしょうか。

文(聞き手):竹浦史展
取材日:2019.6.25

柿の木坂荘(無料低額宿泊所・定員12名)

東京都目黒区内

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0120-346-850

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