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更新日:2018.09.12

「SSSは甘い」
利用者のためを本気で考える施設長

スタッフインタビュー:猪俣 志治

#三多摩 #60代 #スタッフ #日常生活支援

勤続15年目のベテラン施設長

緑豊かな東京都西部の都市、青梅市。
市を横断して流れる多摩川沿いに建つ「青梅荘(無料低額宿泊所)」で、今年勤続15年目を迎えるのが施設長の猪俣です。
自らを「口うるさい」と表現するとおり、SSS三多摩支部の中でも一目おかれる存在です。
20代から80代までの幅広い利用者54名の施設全体に目を配り、調理師免許をいかして調理スタッフとともに、施設の食事にも手腕を振るっています。

そんな猪俣に、今回スタッフインタビューを敢行したところ、開口一番
「いいことばかり言うつもりはない」
との発言。
一人ひとりの利用者に、日々向き合っている現場責任者としての本音を話してもらいました。

無知は損

施設長として日ごろ猪俣が自分に課していることは、「知識」を蓄えること。
なぜならそれは自分自身に「知らなかった=できなかった」過去があるから。

猪俣は20歳の時、父親の病気が原因で、弟と2人きりの生活をしいられた経験を持っています。
通っていた大学を辞めてアルバイトを始めたものの、朝から夜まで働いても手取りはたったの8万円。
これでは弟の高校の学費と月3万円の家賃を支払いながら生活していくことは不可能でした。
結果的に弟は高校を中退し、働くことになりました。

「生活保護をしらなかった」
「立ち直る方法がわからなかった」
福祉事務所に相談することができず、「弟に高校を辞めさせてしまった」ことを今も悔やんでいるのです。

独学で調理師免許を取得

猪俣が調理師免許を取得したのは、青梅荘の副施設長に着任してからのこと。
レストランのキッチンスタッフとしての経験はありましたが、これからは施設の利用者の「健康・安全を預かる身」であるという責任感のもと、調理技術はさることながら、食品衛生についてしっかり学んでおきたかったのが理由でした。
テキストと問題集を購入し、猛勉強して、自力で調理師試験をパスしました。
以来、調理スタッフに指導を徹底するとともに、常に自己研鑽につとめています。

もちろん、調理以外でも業務に必要な知識はどんどん吸収する努力を怠りません。
施設長室の机には「生活保護手帳」を置き、分からないことがあれば、福祉事務所のケースワーカーに相談。
親しい医療ソーシャルワーカーには「入院に関することじゃなくても相談しちゃう」ほど、各機関との関係性を大切にして、新しい知識を得ています。

こうして知識を増やしておくことがひいては利用者のためになる、
猪俣はそう考えています。

わたし達は、まず助けます。

施設には認知症、精神疾患、障害、依存症、要介護高齢者など様々な事情を抱えた人たちが入所しています。
そんな利用者に向き合う時、猪俣が一番大切にしていることは、SSS法人理念にある「まず助けます」という部分。
前任の施設長の後を引き継いで以来、「強制退所」をしないのが猪俣のモットーです。

強制的に退所させられるということは、行き場がなくなるということ。
どういう事情であれ、それは理念に反すること。
本当に行き場がなくなってしまったら、人生を悲観して生きることをあきらめてしまうかもしれない。

どうしても施設で対応できない場合には、福祉事務所と相談を重ね、時には自ら病院や有料老人ホームに連絡を取ったり足を運んででも、行き先を見つけてから送り出します。

SSSは甘い

SSSでは法人独自の内部チェック機能として、現場から独立したコンプライアンス推進室が各施設をまわって内部監査を実施しています。
約100項目に及ぶ監査項目に対して、今年実施した結果は「指摘事項なし」。
しかし、猪俣にとってこれは「当たり前」のこと。

それどころか、逆に監査員にたいして「提言」をしました。
その一つが毎月行っている細菌検査の結果を支部の全施設で共有すべきというもの。
その理由は、結果を共有することで、お互いが足りない所を補えるから。
「青梅荘だけがよければいいのではない」
「全体でよくなっていく必要がある」
「SSSは甘い」と言う猪俣ですが、その真意には「より良くかえていける」という確信があるのです。

知識を蓄えておくことも、
関係機関と連携することも、
組織に苦言を呈することも、
すべては「利用者本位」であるため。

利用者のためになることは何かを常に考え、与えられた仕事を一生懸命やる。

SSSでは、こんな施設長が利用者の自立を支えています。

文(聞き手):梅原仁美
取材日:2018.5.21

猪俣 志治(いのまた しんじ)

1956年9月生まれ/2004年入社
特定非営利活動法人エス・エス・エス(NPO SSS)
三多摩支部 青梅荘 施設長
東京都出身。
レストランのキッチンスタッフやホテルのフロントを経験したのち、3年半のホームレス生活を経験。駐在さんに声をかけられ福祉事務所へ相談しSSS青梅荘へ入所。その後内部雇用制度により調理スタッフ、副施設長をへて施設長に着任。
好きなものは映画と動物。
最近はスマホでネット動画鑑賞にハマっており、「鉄拳」のパラパラ漫画を見るとボロボロ泣いてしまうという人情派。

〔お問い合わせ〕
NPO法人エスエスエス 三多摩支部
0120-127-374

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