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更新日:2019.11.13

車上生活からアパートへ
行政受託事業を通じた自立支援の実際

当事者インタビュー:Tさん(男性・67歳)、 Iさん(女性・55歳)

#千葉 #60代 #50代 #受託事業 #地域移行

行政受託事業とは?

生活困窮者を支援する事業の中には、大きくわけて行政がおこなうものと民間が主体になっておこなうものがあります。また、中には行政からNPO法人や社会福祉法人が事業を受託しておこなうものがあり、これを「行政受託事業」と呼んでいます。

SSSでは約20年におよぶ生活困窮者支援の実績を評価していただき、2019年10月現在、10自治体から14件の事業を受託しています。

今回のコラムでは、2018年6月より受託した「市川市ホームレス自立支援事業(以下、自立支援事業)」を実際の例として、車上生活を脱却し、アパート生活をはじめたご夫婦のお話をご紹介します。

自立支援事業を通じて地域のアパートへ

「こんにちは~!」「どうもどうも!元気でしたか?」
千葉県市川市内のとある公園。SSSのスタッフとアパート生活をはじめたばかりのご夫婦が明るくあいさつを交わします。

Tさん(男性・67歳)、 Iさん(女性・55歳)のご夫婦がSSSのサポートをうけてアパート探しをしたのは4か月ほど前のこと。
数か所の不動産屋をスタッフとまわり、いくつかの物件を内覧。
「土地鑑がある」という場所に2Kのアパートを見つけることができました。

そもそも、ご夫婦がアパート探しのサポートをうけることになった経緯や理由はどんなものだったのでしょう?このあとにつづく自立支援事業の内容とあわせてお読みいただきたいと思います。

長年におよんだ車上生活

実をいうとご夫婦がアパートでの新生活をはじめる前に寝泊りしていたのは路上に停めた車の中。それぞれ生活に困窮し、動かなくなった自家用車をマイホームとして長年、暮らしてきました。

Tさんは18年とかなり長期にわたる車上生活。あとからやってきたIさんも6年ほど。偶然、同じエリアで過ごしていたお隣さん同士でしたが、Iさんがいっしょに暮らしていた弟さんを亡くしたことをきっかけとして、やがて2人で共同生活をするようになりました。

市川市の自立支援事業には、市内で路上生活を送る方に声かけをおこない、安否確認や生活の相談をうける巡回業務があり、Tさん・Iさんご夫婦もこの巡回の対象でした。

まちかど相談所を定期的に利用

この巡回業務とセットで実施されるものに「まちかど相談所」の運営という業務もあります。巡回が「アウトリーチ=こちらから出向く支援」とすれば、相談所は「むこうから来るのを待つ支援」
所定の場所を週1回、相談所として開放し、巡回と同じく健康面や生活の相談をうけるほか、シャワーや洗濯機の利用も可能です。

ご夫婦は廃品回収などをしながら車上生活をつづける中で巡回によって定期的な声かけをうけ、週1回まちかど相談所のシャワーを借りるなど、SSSのスタッフと徐々に打ち解けていきました。

支援団体との信頼関係

アパート生活をはじめた今でも時折、相談所に顔をだすIさんは、「スタッフとおしゃべりして帰るようにしている」と笑顔で話してくれました。
このようにSSSスタッフとの信頼関係がうかがえるご夫婦ですが、「はじめは大きな不安があった」と口をそろえます。

というのも、市川市の自立支援事業は2008年から10年以上も実施されてきた歴史があり、SSSが受託する前は別の支援団体が巡回や「まちかど相談所」の運営をしていたのです。

このため、以前の団体に信頼を寄せていたご夫婦は「今まで会ったこともない、口をきいたこともない...」「いったいどんな感じだろう...もう相談所に行くのをやめようか」などとSSSの受託に戸惑いを隠せませんでした。

「自立支援住宅」から地域のアパートへ

しかし、その不安や戸惑いが払拭されるのに、それほど長い時間はかかりませんでした。ご夫婦は新たにやってきたSSSのスタッフについて、「人柄がよかった」「安心した」と言い、「(Tさんがヘルニアで)救急搬送された時もかけつけてくれた」「親身な対応」と感謝の言葉を口にします。

そして、この緊急搬送をきっかけとして、ご夫婦はアパート生活にむけた訓練事業である「自立支援住宅」の入居を決め、「はじめは落ち着かなかった」と感じつつも「1ヶ月ほどで昔の生活を思い出した」と、長年に渡る車上生活に終止符を打つことになったのです。

半年ほど「自立支援住宅」でSSSスタッフによる定期的な訪問支援をうけ、地域生活をしていく自信がつき、上述のようにアパートへ引っ越しすることができました。

明るく前向きに地域生活をおくる

車上生活を振りかえり、「当時は廃品回収をして食べる物に困っていなかったし、生活のペースを崩したくないという気持ちが強かった」とIさん。「夏は暑くて冬は寒い」「今思うとよくいられたなと思う」とTさん。

ご夫婦は、車上生活を長年つづけてきた理由を「よくもわるくも人は慣れる」と話してくれましたが、その生活がたたってか、Tさんの体はすでにボロボロ。
ヘルニアからくる腰痛のほか、高血圧、動脈硬化、糖尿病、白内障などの診断をうけ、塩分や糖分を控えた食事制限が必要不可欠です。

そんなTさんのためにIさんは病院で講習をうけ、味付けを工夫しながらメニューを考える毎日。「性格が真逆だから口喧嘩はしょっちゅう」とも話しますが、まさに「ケンカするほど仲が良い」という表現がぴったりのおふたり。「完全な満足はないけど、できるだけ健康でいれたら」と新たな地域生活での目標を明るく語ってくれました。

文(聞き手):竹浦史展
取材日:2019.10.3

市川市ホームレス自立支援事業

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