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更新日:2019.06.26

「SSS雇用創出制度」で仕事ができる喜びを実感
元当事者が施設長になり自立を支援

スタッフインタビュー:鈴木 安博

#東京 #40代 #スタッフ #日常生活支援

「支援される人」から「支援する人」へ

あなたがもし、リストラや体調不良を理由に失業したとして、これまでの経験や培ってきたスキルを生かして再就職することは簡単なことでしょうか?
健康状態に問題がない20~30代であれば、各業界で人材不足が深刻化する現在の日本社会で働き口を得ることはむずかしくないのかもしれません。

しかし、40代をこえて年齢が上がっていくごとに再就職の選択肢が少なくなるのは、不況であってもそうでなくても世の常といえるのではないでしょうか。

生活困窮者の自立を支援するNPO法人エスエスエスでは、無料低額宿泊所を利用する当事者の就労先を確保する一環として「SSS雇用創出制度」を設けています。
今回は、この制度を利用して、「支援される人」から「支援する人」となった施設職員のスタッフインタビューです。

東日本大震災をきっかけに生活困窮

今回のコラムの主人公は、東京都板橋区内の無料低額宿泊所「向原荘」の施設長を務める鈴木安博(48歳)。まずは、鈴木が施設長として登用される前、自身も生活に困窮してエスエスエスを利用することになった理由をお話ししたいと思います。

鈴木の前職は、調理師。地元、静岡の高校を卒業してから「手に職をつけたい」と京都の料亭で10年間修行するなど、足かけ30年ほど飲食業に携わってきました。
長年にわたり腕を磨いてきた鈴木は、40歳を迎える頃には、静岡県にあるゴルフ場に併設されたレストランで料理長を務めるまでになっていました。

しかし、2011年・・・東日本大震災をきっかけに人生が一変してしまいます。
なんと、震源地から遠く離れた静岡県でも震災後の自粛ムードが高まり、「ゴルフなんてやってる場合じゃない」と客足が激減。
それまで正社員だった雇用契約がアルバイトに切り替わり、収入は半分ほどになってしまいました。

年齢の壁が立ちふさがる就職活動

それから2年ほど他のアルバイトもかけもちしながら苦境を乗り越えようと努力しましたが、勤めていたゴルフ場を退職せざるを得なくなり、上京。
心機一転、友人と飲食店を立ち上げたものの、それも甘くはなく、「1日18時間以上という激務」に体が悲鳴をあげて入院することに。

この入院をきっかけとして生活に困窮した鈴木は、区役所へ相談し、ケースワーカーからの情報提供をもとに、エスエスエスの運営する無料低額宿泊所の利用を開始することになりました。

その後、生活保護を受けながら療養し、「調理関係の仕事で一旗あげたい」と就職活動をしましたが、年齢の壁が立ちはだかります。
自分よりひと回りほど若い面接担当者に「あなた1人を使うなら、若い人を2、3人使った方がいい」と不採用にされるなど、鈴木は、「世間の厳しさをまざまざと感じた」そうです。

「お世話になった分、恩返しをしよう」と施設職員の道へ

そんな折、当時入所していた祐天寺荘の施設長やマネジメントスタッフを通じて「SSS雇用創出制度」を知り、「このまま今の生活を続けていても何もはじまらないし、今度はお世話になった分、恩返しをしよう」と施設職員への道を志望しました。

SSSでは自立支援の過程で、スタッフとして働くことを選択肢の一つとして利用者に提案する制度があり、2018年10月現在で合計735人が働いています。
(SSSの全スタッフ848人のうち86.7%が元当事者または現当事者となります)

鈴木も自身の能力を生かすべく「SSS職員認定研修」に参加し、生活保護法や無料低額宿泊所のガイドライン、職員としての心得などを座学やグループワーク等を通して学び、認定試験を見事クリア。採用に至りました。

一番大切なのは「愛情あるコミュニケーション」

鈴木が施設長を務める向原荘には、退院後に行き先のない人、アパートから強制退去してくる人、他の施設でトラブルを起こして移動先を探す人など、様々な生活困窮者が入所してきます。利用者全員に共通しているのは「住むところや行くあてがない」ということ。

そんな利用者に対して鈴木が一番大切にしているのが「愛情あるコミュニケーション」です。
自分自身が利用者時代に感じた施設長からのあたたかいコミュニケーションを手本として、利用者と積極的に関係づくりをしていきます。

例えば、門限や禁酒など、施設には集団生活を送る上で必要なルールがたくさんありますが、単純にルールだけを押し付けるような一方通行のコミュニケーションではなく、面談や日常会話を通して利用者一人ひとりの考え方や性格を把握し、「ああしたい」「こうしたい」という利用者の気持ちを引き出すようにしています。

「いつもありがとう」が「励みと原動力」

「入所当時は、寂しかったり、不安でいっぱいの利用者が多く、自分の居場所を保つために意固地になったり、攻撃的になる人も少なくない」と鈴木。
「誰もが自分を認めてもらいたい」と自身の経験を交えて話します。

あえて、居室や共用部の清掃、ペンキ塗り、花壇づくりなど、利用者を交えて一緒に作業する機会を多く設け、「褒めることができるきっかけ」を増やすようにしています。

こうしてSSSの施設職員として働く中で、「いつもありがとう」という言葉やたくさんの笑顔をもらい、鈴木は「仕事ができる喜び」を実感し、それを何よりの「励みと原動力」にしています。

「実際に経験した人でないと分からない気持ち」を理解し、寄り添いながら今日も鈴木は利用者に声をかけます。

文(聞き手):竹浦史展
取材日:2019.2.14

鈴木 安博(すずき やすひろ)

1970年7月生まれ
特定非営利活動法人エス・エス・エス(NPO SSS)
東京支部 向原荘 施設長
静岡県出身。
読書好きが高じて、通院同行時に健康や病気に関する冊子を持ち帰っては、読み漁る。好きな小説家は東野圭吾。

〔お問い合わせ〕
NPO法人エスエスエス 東京支部
0120-346-850

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